覚え書きブログ

企業や大学の研究者のあるある(料理での例え編)

企業や大学の研究者のあるあるを、料理で例えてみる。企業や大学において、プレゼンやプロジェクトの企画運営の能力は、研究者の必須能力ではあるが、なかなか感覚的に身につくものではない。したがって、自分がこれらの仕事を上手に出来ていなくても気づかない場合が多い。また、自分の周りの人が上手く出来ていないことを違和感を持って気づくことはできるが、どこに問題がありなぜそれが問題なのかが説明しづらかったりする。そこで、最近個人的には、人間が小さい時から日常的に食べたり作ったりしている料理に例えて、これらの仕事を感覚的に感じることができないかと考えている。自分が経験した料理へのたとえをいくつか紹介する。
 
○「味気ないスープのようなプレゼン」
せっかくいい結果がでているのにも関わらず、提案した方法のフローと結果を淡々と説明するだけのプレゼン。聞いている人は、そのフローのどこに提案があるのか、何がどう作用して結果に繋がっているのかが分からない。また、聞いている人によっては、その案に全く興味がなくなってしまい、聞き流してしまう。良いプレゼンをするために研究者は、背景、課題、解決方法、作用及び効果を論理的に説明するとともに、その説明に、アイデアを抽象化した概念、図、または例え話しなどを用いた味付けをすべきである。
 
使い方としては、「君のプレゼンは、まるで味の無いスープみたいだね。栄養はあるのかもしれないけど味がないから美味しくないよ」とか、「もう少し説明にスパイスを利かせてくれないかな」などがある。
 
○「美味しいデザートがないプレゼン」
自分の提案について、その背景から効果まで論理展開を長々とチュートリアル的に説明するプレゼン。聞いている人は、まず、長々とチュートリアルを聞かされるので、飽きてしまう。また、せっかく論理展開まで興味を持って聞けたとしても、実験と評価が少ないことに肩透かしを食らい、裏切られた気分になる。良いプレゼンをするために研究者は、聞き手のモチベーションを高めるために、最初に、結果のプレビューを見せるべきである。そして、味付きの論理展開を程よい長さで説明した後に、実験と評価を程よい長さでバランスよく説明するべきである。
 
使い方として、「君のプレゼンは、まるでデザートのないフルコースの料理みたいだね。せっかくデザート楽しみにしていたのに残念だ。」などがある。
 
○「前菜でもうお腹いっぱいのプレゼン」
本題の前に一般論の背景と課題を永遠と説明するプレゼン。聞いている人は、長々と一般論を聞かされるので、聞き流して早く本題の解決方法以降の説明を待っている。良い研究者は、本題と関係のある背景と課題の説明を適度な長さで説明すべきである。背景と課題が沢山ある場合は、表などで整理してまとめたものを俯瞰的に見せて、その中で今回関係のあるものを詳細に説明し、他のものは質問が出た場合に説明する程度でよい。
 
使い方としては、「背景と課題の一般論的な説明が多いから、前菜でお腹いっぱいになるから、早くメインディッシュを出してくれ」などがある。
 
○「美味しいけど新しくないプロジェクト」
 実現が可能でビジネス的にも落としどころがあるが、既に他社が発表したり参入している、どこかで聞いたことがあるプロジェクト案。
 
使い方としては、「君が提案したプロジェクトは、美味しいんだけど毎日食べてる味噌汁みたいなんだよ。新しくて美味しいプロジェクトを考えてくれ。」
 
○「新しいけど不味いプロジェクト」
 新しい理論や技術の研究開発が必要で、一見投資価値のありそうなプロジェクトであるが、実現が程遠くビジネス的には価値を見いだせないプロジェクト案。
 
使い方としては、「君が提案したプロジェクトは、技術的には新しいんだけど、不味くて売り物にならないんだよ。新しくて美味しいプロジェクトを考えてくれ。」
 
○「愚痴ぽい人が作った不味いプロジェクト」
技術を追求して新しいプロジェクトを進める上では様々な問題にぶつかる。実装や実験のやり直しなど日常茶飯事だ。そんなプロジェクトを進める上で、プロジェクトリーダやメンバーは愚痴を言いながら進める場合がある。自分達はさぞかし愚痴ってスッキリするだろう。しかし、プロジェクトのステークホルダー(上司、顧客など)は出来上がったものだけでなく、そのプロセスを重視する場合が多い。つまり、正しい考え方で、正しい手順で作ったのかをチェックするのだ。特に、愚痴が多いメンバーが作ったものは、例え出来が完璧だったとしても、ステークホルダーは、何らかの問題を感じてしまい、満足ができず疑いをもってしまうものである。

これを料理で例えてみれば直感的にわかるだろう。例えば、あなたの前で、料理人がグチグチ文句を言いながら作った料理と、楽しそうな笑顔、または真剣な顔つきで作った料理があったとしたら、どっちを食べたいだろうか?例え、同じ料理でも、普通は後者の方を食べたくなるはずだ。

使い方としては、「君たちが進めるプロジェクトは、まるで愚痴の多い料理人が作った料理のように不味く見えるよ」などがある。